LABORATORY & ARCHIVE
言語化ラボ&
アーカイブ
言語化品質のさらなる改善向上を誓って、
Web上にラボ(研究室)とアーカイブ(書庫)を設けます。
ラボでは言語化品質改善向上のための取り組みを、
アーカイブでは過去の言語化事例を中心にご紹介していきます。
株式会社EDIMASS
代表取締役 手嶋 真彦Masahiko TEJIMA
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/ 東大アメフト物語
「弱い。だから挑むんだ」 東大アメフト部 大学日本一への挑戦 第53話/全66話(予定)
「お前、良かったじゃないか。いろいろ学べるぞ」 大怪我をしてリハビリ中のウォリアーズの選手に、監督の三沢英生は決まってそんな声を掛ける。本気でそう言えるのは、三沢自身が選手時代に大きな怪我をしているからだ。 右膝を激しく痛めたのは、大学3年の秋の終わりだった。前十字靱帯が断裂しており、戦列復帰までに長い時間が必要だった。怪我をしたての頃は悔しくてたまらなかったが、やがて気持ち …もっとみる -
/ 東大アメフト物語
「弱い。だから挑むんだ」 東大アメフト部 大学日本一への挑戦 第52話/全66話(予定)
TOP8昇格を決めた2週間後、最終節の国士舘大学戦には勝てなかった。 BIG8優勝をすでに決めていた東大にとっては、ある意味では消化試合であり、ウォリアーズの4年生の中には、どこか弛緩した空気をまとう者もいた。 部内の温度差を感じる者もいた。TOP8昇格という当面の目標を達成できた安堵感は大きなものだった。いささか緩んだ空気の中で、日本一という未来の目標を見据え、国士舘戦もその大事なプ …もっとみる -
/ 東大アメフト物語
「弱い。だから挑むんだ」 東大アメフト部 大学日本一への挑戦 第51話/全66話(予定)
東大が試合を引っくり返し、3点をリードして迎えた続く桜美林大学の攻撃は、第3クオーターの終盤から第4クオーターの序盤にまたがり、最後は4thダウンギャンブルが失敗に終わる。試合の趨勢を大きく左右するビッグプレーは、その直後の東大の攻撃で飛び出した。 開始地点は自陣34ヤード。スナップを受けたクオーターバックの伊藤宏一郎は、少し下がりながらタイミングを計ると、前方に思い切ったパ …もっとみる -
/ 東大アメフト物語
「弱い。だから挑むんだ」 東大アメフト部 大学日本一への挑戦 第50話/全66話(予定)
そのコールを平賀慎之介が出した時、第3クオーターの残り時間は4分を切っていた。どこで使おうか、ベストのタイミングをオフェンスコーディネーターの平賀が探っていたコールだった。18時15分に始まった桜美林大学戦は9-14というスコアのまま、東大は5点のリードを許していた。 アメフトのチームはまず例外なく、そのシーズンの軸に据える攻撃のパッケージをいくつか持っている。もっとも得意として …もっとみる -
/ 東大アメフト物語
「弱い。だから挑むんだ」 東大アメフト部 大学日本一への挑戦 第49話/全66話(予定)
企業経営者である加藤政徳は、かつては誰よりも早く出社していた。早朝6時前にはもう仕事を始めていたほどだ。 誰もいないオフィスで、加藤はいらついていた。 <みんな遅い。遅すぎる> 定時前になり、社員たちが出社してきたあとも、心の中では毒づいてばかりいた。 <なんで、これができないのか> <なんで、こんなことも知らないのか> <根気がなさすぎる> <やれば、もっとできるだろ> 加藤 …もっとみる -
/ 東大アメフト物語
「弱い。だから挑むんだ」 東大アメフト部 大学日本一への挑戦 第48話/全66話(予定)
2018年11月18日の桜美林大学戦は、文字通りの大一番となる。どちらも5戦全勝でこの日を迎え、東大は勝てば優勝が決まる。負けたとしても、最終節の結果次第で、他力本願にはなるが、逆転優勝もありえる。 総合力では、ほぼ五分と五分――。ヘッドコーチの森清之は、そう見立てていた。選手の能力では若干下回っているだろうが、勝てるチャンスは十分ある。持てる力を発揮できるか、できないか。いずれにし …もっとみる -
/ 東大アメフト物語
「弱い。だから挑むんだ」 東大アメフト部 大学日本一への挑戦 第47話/全66話(予定)
試合後のスチューデントアシスタントは、目が回るほど忙しい。とくにコーディネーターの平賀慎之介と有馬真人は、次の対戦校とどう戦うか、2日後に再開される練習までに方針を固め、進行台本のスクリプトを用意しておかなければならない。 まずは次の対戦校の直近の試合映像を分析し、戦い方の傾向を掴むためのデータをアップデートする。それを踏まえて、ゲームプランを立てていく。試合が日曜日で、火 …もっとみる -
/ 東大アメフト物語
「弱い。だから挑むんだ」 東大アメフト部 大学日本一への挑戦 第46話/全66話(予定)
TOP8昇格を懸けた秋の公式戦は、2018年9月8日に始まった。事前に分析していた通り、4節までは対戦校との力の差が明らかだった。 ○東京大学 42-14 ●東海大学(2017年度の東海大学はBIG8で4位タイ※) ○東京大学 41ー11 ●駒澤大学(2017年度の駒澤大学BIG8で6位※) ○東京大学 40-10 ●専修大学(2017年度の専修大学は2部Bブロック1位◇) ○東京大学 37-0 ●東京学芸大学(2017年度の東京学芸 …もっとみる -
/ 東大アメフト物語
「弱い。だから挑むんだ」 東大アメフト部 大学日本一への挑戦 第45話/全66話(予定)
8月に入って夏合宿が終わると、そこからはもう、あっと言う間だ。9月になれば、秋の公式戦が始まる。2週間に一度、予定の日時を迎えると、待ったなしで真剣勝負が始まり、衆人環視の中、2時間かそこらで決着がついてしまう。準備のための長い時間に比べれば、ほんの刹那の試合だからこそ、本気で取り組んできた誰もが、自問自答せざるをえなくなる。本当に、とことんやり切ったのか――。 「できる限りの …もっとみる -
/ 東大アメフト物語
「弱い。だから挑むんだ」 東大アメフト部 大学日本一への挑戦 第44話/全66話(予定)
オフェンスラインのセンターを定位置としている主将の楊暁達は、学生スタッフの平賀慎之介がコーディネーターを務める良さを肌で感じるようになっていた。 「平日の練習終わりに、その場で目を合わせながら、問題を明確にできるようになりました。試合で使おうとしている作戦が、ここまではできるようになった、明日はこうしてみようと、日々、具体的な話ができるわけです」 コーディネーターは、森清之の …もっとみる