EFFICACY
効能書き06
ステートメント
言語化の「効能」

こんな症状に…

  • 商品·サービスの「提案」を通すのが難しい
  • 企業理念や企業の社会価値を周知するのが難しい
  • 経営者の「思い」がお客様に届かない

こんな効き目が…

  • 伝え方のポイントが浮かび上がる
  • 商品·サービスの価値や魅力がしっかり伝わる
  • 理念や思いを伝えて心を動かせる
EFFICACY

良さが伝わらなければ
無駄骨になってしまう

英語のStatementは「(考え方・態度の)表明、主張」「(自分の考えなどを)述べること、表現すること」を意味する言葉です。
ここでは企業から社外に向けた「発信」を意味する言葉として使います。
発信していくのは、自社の商品やサービスを活用してもらうための「提案」です。

英語にはMission Statementという語句もあります。
「会社・組織の使命の宣言」「社会的使命・企業目的などの表明」を意味しているそうなので、「企業理念」に近い概念なのでしょう。
別の英和辞書のMission Statementは「組織の目的・目標を文書化したもの」と定義されています。
「文書化したもの」です。
ESSENTIAL FORCE言語化は、ステートメントに「提案文書」の意味合いを持たせています。
企業の価値や魅力を、あるいは提供していく商品・サービスの価値や魅力を、
どのようにお客様の便益へと変換していくか、取っておきのアイデアを伝える文書です。

提案ですから、大切なのは、価値や魅力がしっかり伝わるかどうかです。
提案するのがいくら良い商品や良いサービスのアイデアであっても、
肝心の良さが伝わらなければ、ステートメントを練った甲斐がありません。
提案を聞く側に無駄骨を折らせないためにも、内容と伝え方にしっかりと工夫を施さなければなりません。

重要なのは、誰に、何を、どのように伝えるか。
思考を本質まで深めて、伝え方にどのような工夫を施すべきか、
その勘所、ポイントを浮かび上がらせるのが、ステートメントという提案文書の言語化です。

「なるほど」と思わせる
丁寧なロジックが必要だ

ステートメントは提案です。
良い提案を、誰に届けたいか。
誰の心を動かしたいか。
ある程度は明確に「誰に向けて」を意識しておかないと、結局のところ誰にも届かない提案になりかねません。

具体例を挙げると、お読みいただいているこの効能書きは
「より良い社会」「より良い暮らし」「より良い明日」を見据えている経営者の方々を意識した提案文書です。
誰の心を動かしたいかがある程度クリアにイメージできていると、
ステートメントもメッセージ(言語化プロトタイプ5)も表現を最適化できるので、その分だけ届きやすくなるのです。

ステートメントで提案するのはアイデアです。
製品やサービスの活用を「より良い社会」「より良い暮らし」「より良い明日」に繋げていくアイデアの提案ですから、
お客様にどのようなベネフィットをもたらせるか、きちんと伝えなければなりません。
ベネフィットをここでは「便益」と訳しておきましょう。

あらかじめ想定しておかなければならないのは、提案文書を読む側のバイアスです。
バイアスとは先入観や偏見と言えますし、思い込みや決めつけとも言えるでしょう。
読み手側のバイアスによって、たとえば言語化は無価値だと決めつけられたら、
当然ながら提案文書であるステートメントも素通りされてしまいます。
バイアスの壁はこのように言語化の前にも立ちはだかります。
言葉は誰もが日常的に使っているものですから、言語化など造作ないと思われがちなのでしょう。
しかし本当に、言語化とは簡単な取り組みなのでしょうか。

「あなたの長所を3つ挙げてください」

この問いに答えるのは容易かもしれません。では、次の問いは、どうでしょうか。

「あなたの長所を、なぜそれが長所と言えるか、多くの人が納得できる理由をつけて、3つ挙げてください」

思考を深めて、この場合は「多くの人が納得できると思われる理由」を見つけ出すのが、
ESSENTIAL FORCE言語化で進めていく言語化です。
あなたのことを知らない人に、あなたの長所を長所と認めてもらうためには、
「なるほど」と思わせるだけの根拠が求められます。
お客様にベネフィットを伝えるステートメントもそれは同じです。

読み手側のバイアスを予測し、念頭に置きながら、
まずは興味を惹く強いメッセージ(言語化プロトタイプ5)で先入観や思い込みにクサビを打ち込む。
メッセージで「あれ?」と思わせて、そのままステートメントへと引き込んでいく。
ステートメントという提案文書では、表現を噛み砕けるだけ噛み砕きながら、丁寧にロジックを展開していく。
提案しているアイデアには価値があると理解してもらう、認めてもらうための丁寧なロジックです。

「心を込める」とは
単なる精神論ではない

ステートメントという提案文書の前に立ちはだかるもっとも高いハードルは、自分事にしてもらえるかどうかというハードルです。
言語化の価値は理解できたが、自分には無関係――。
そんなふうに他人事のままでは、提案は通りません。
価値を理解してもらえるだけでなく、活用したいと思わせるのが優れたステートメントです。

優れたステートメントには、提案内容を自分事にしてもらうための工夫が欠かせません。
工夫の一つとして有効なのが、問いかけです。

アイデアの価値や魅力を丹念に説き明かしていくのが提案文書の基本ですが、随所に問いかけを織り交ぜます。
バイアスの発動が予想されるポイントでは「本当にそうでしょうか?」と思考を促す疑問を投げ掛け、
思い込みや決めつけを揺さぶります。
もっとも効果的なのは、読み手が自身の身に置き換えて考えやすくなるタイミングでの問いかけです。
「あなたなら、どうしますか?」と思考を促し、提案しているアイデアを押しつけずに、選択肢の一つとして浮上させます。

誰に、何を、どのように伝えるか。
たとえば「感度の高い経営者に」「言語化のベネフィットを」「問いかけを織り交ぜながら」ロジカルに伝えていきます。

提案文書であるステートメントの成否は、ロジックの説得力に大きく左右されます。
ですから舌足らずになって伝えたいことが伝わらないぐらいなら、くどいくらいに言葉を尽くすほうが適しています。
粘り強く、丹念に、説明していくことです。

「丹念」には、次のような語義があります。
「誠意を持って丁寧に行うこと」
「細かい点にまで注意を払うこと」
「真心を込め、念を入れること」

ステートメントの制作でも、提案意図がしっかり伝わるように、
読み手の思考や反応を想像しながら「誠意を持って丁寧に」「細かい点にまで注意を払う」文章を綴っていきます。
それが心を込めた文章です。

「心を込める」とは、単なる精神論ではありません。
ロジカルなステートメントを記していく場合にも、最適な語句を選択し、最適に配置できる知識や技術が必要です。
最適なロジックや最適な表現をあきらめずに追求していけるだけの、
粘り強さや集中力といったフィジカル/メンタル要素も求められます

ステートメントの文章は一文一文、順序立てて、綴っていくものです。
読み手の受け取り方を想像しながら、一語一語、一文一文、細部の選択や配置に心を砕く。
集中して、粘り強く、丁寧に――。
心を込めた文章とは、そのような書き方をしている文章ではないでしょうか。

心を込めたおもてなしや、心を込めた贈り物と同じです。
相手を思い、丹念に綴った結果として、心を込めた文章になっているのだと思います。

心を込めたステートメントの制作には、たしかに手間暇がかかります。
ですが、価値や魅力をしっかり伝えるための時間や労力なのですから、惜しむべきではない手間暇です。

粘り強く、しかも集中して言語化と向き合うためには、体力や精神力も必要です。丹念な言語化には心技体の、あるいは体技心の三位一体が求められます。

強力な「切り札」を
言語化しておく

心を込めた文章を綴り、良い商品や良いサービスを提案するだけで、読み手の心を動かせるとは限りません。
競争の激しい市場で、商品やサービスのコモディティ化が進んでいるのであればなおさら、
切り札となるプラスアルファのカードを用意しておくべきです。

強力なカードにできるのは、きちんと言語化された優れた企業理念です。
理念に対する共感、共鳴は、その企業の商品やサービスを選択する動機となりえます。
同様に企業の社会価値も、プラスアルファのカードたりえます。
提供している商品やサービスを、いかに「世のため、人のために」役立てようとしているか、
そうした社会価値をしっかりと言語化したものです。

経営者の「思い」も、切り札にできます。
本気で「世のため、人のために」と誓っているのであれば、その理由を積極的に伝えていくべきです。
誓いの元にある原体験であったり、流してきた汗と涙であったり、
見据えているビジョンであったり、ためらわずに表明するべきです。
理由を明かさず、ただ「世のため、人のため」と謳っているだけでは、口先だけのきれい事にしか映りません。

提案文書であるステートメントは、企業の決意を表明するメディアにもできます。
どんな未来を見据えて、どう挑んでいくつもりなのか。
読み手の心を大きく動かしたいなら、代表者である経営者の強い思いを隠さずにぶつけて、
企業としての「本気」を伝えていくべきです。

言語化に取り組んで生まれた成果物は、あなたの会社の資産になります。
読み手の心を大きく動かす唯一無二のステートメントを制作し、
その資産を有効活用していただけるのが、わたしたちの大きな喜びです。

主要参考文献

本テキストは、筆者(株式会社EDIMASS代表取締役・手嶋真彦)が拝読してきた文献からインスパイアされて執筆したものです。そのすべてを記しきれない数の文献から学び、触発されてまいりましたので、ここではすべての文献執筆者に深い敬意と謝意を表しつつ、具体的な文献名等は割愛させていただきます。

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ステートメント言語化の「効能」