EFFICACY
効能書き05
メッセージ
言語化の「効能」
こんな症状に…
- 商品·サービスへの興味·関心を増やしたい
- 集客に行き詰まっている
こんな効き目が…
- 価値や魅力を瞬時にイメージしてもらえる
- 集客のきっかけが瞬時に作れる
頭に働きかけると
即座にスルーされてしまう
英語のMessageは「コマーシャル」を意味する言葉でもあるそうです。
コマーシャルなので広告です。
多くの企業が、提供している商品やサービスの広告(コマーシャル)に熱心なのは、
それら商品やサービスの効能を知らせたいからです。
別の言い方をすれば、宣伝です。
商品の魅力であったり、サービスの価値であったりを、宣伝して広めようとしています。
ESSENTIAL FORCE言語化は「興味を惹く強いメッセージの言語化」を、言語化の5つ目のプロトタイプとしています。
ここで言うメッセージとは、(広い意味での)宣伝のための文章です。
「ごくごく短い宣伝文」をイメージしてください※1。
ESSENTIAL FORCE言語化とは、思考を本質まで深めていく言語化です。
メッセージは「宣伝文」ですから、文章で伝えます。
文章の本質は、どこにあるのでしょうか。
人は文章を、煎じ詰めれば伝えるため、知らせるために綴ります※2。
自明のことではありますが、文章とは伝える、知らせるための表現です。
伝える、知らせる文章表現には少なくとも2種類あります。
一つは「頭」に働きかけるタイプの文章表現です。
伝えたい主張を頭で理解してもらうためには、ロジックを用いる必要があります。
「我が社の製品はここが優れている。なぜならば……」
根拠(「なぜならば」以下)が主張(「我が社の製品はここが優れている」)をしっかり支えていれば、
読み手は頭で理解して「なるほど、だから優れているのか」と納得できます。
根拠と主張を連結している目に見えない“ジョイント”が、ロジックです。
ジョイントが緩んでいると、論理の飛躍と受け取られ、「なるほど、だからなのか」とはなりません。
ロジックを必要とする文章表現のネックとなるのが、ボリューム(文字数)の問題です。
論理に説得力を持たせるには、順を追って、筋道を立てて、伝えていかなければなりません。
ただし、丁寧に筋道を立てれば立てるほど、文章は長文化していきます。
しかも、ロジックというジョイントで連結された箇所の多い文章は、理屈だらけです。
理屈っぽさを薄めるために理屈を象徴している具体的な事例を盛り込もうとすれば、文章はさらに長文化していきます。
「ごくごく短い宣伝文」は本質的に、ロジックとの相性が今ひとつです。
理屈っぽくて、長くなりがち。
頭に働きかける文章表現はそれゆえ、読み手に掛かる負担が大きくなりやすいです。
よほどその製品やそのサービスに興味・関心を抱いている人を除けば、即座にスルーされてしまう。
そんな結末が予想できます。
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英語のMessageは「物語などで作者・話者が伝えたいこと」を意味する言葉でもあるそうです。「ESSENTIAL FORCE言語化」ではメッセージという言葉を、「物語を通して伝えたいこと」という意味合いでも使用しています。言語化プロトタイプの7つ目「ロイヤルティを最大化する物語の言語化」の効能書きをご参照ください。
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ノートや日記に綴る文章、備忘録などは、未来の自分に伝えるため、知らせるための文章です。
心に働きかけて瞬時に
想像力を掻き立てる
文章表現のもう1種類は、「心」に働きかけるタイプです※3。
ごくごく短い宣伝文である「メッセージ」は、心に働きかける文章表現です。
商品やサービスに、まずは興味・関心を抱いてもらう。
瞬時に、興味・関心を芽生えさせる。
それがメッセージの大きな役割です。
興味を持つとは「これは面白そうだ」と心が引きつけられることです。
関心を持つとは「これを無視するわけにはいかない」と心が引っかかりを感じることです。
興味も関心も「もっと知りたい」という気持ちを引き起こします。
これは面白そうだ、これを無視するわけにはいかないと強く思わせるのが、宣伝文としてのメッセージの役割です。
興味を惹く、関心を持たれるメッセージにもっとも必要なのは、ロジックではありません。
想像力を掻き立てるフレーズです。
この商品なら、良い変化を起こせるかもしれない。
このサービスなら、良い未来へ進んでいけるかもしれない。
言語化していくのは、ポジティブなイメージが瞬時に膨らむフレーズであり、そうしたフレーズの組み合わせです。
優れた宣伝文が、リスクヘッジの想像を促す場合もあります。
良くない未来を避けられるという予見が、商品・サービスへの興味・関心を湧き上がらせます。
興味を惹く、関心を持たれるメッセージには「強さ」も必要です。
瞬時に「これは面白そうだ」「これを無視するわけにはいかない」と直感させるインパクトが、ここで言う強さです。
インパクトとは衝撃です。衝撃とは「突然の、激しい打撃」を意味します。
衝撃波は瞬時に伝わります。
瞬時に魅力や価値をイメージさせるのが、強いメッセージです。
強いメッセージと言っても、
斜め上からの目線で「こうしなさい、ああしなさい」と命ずるようなキャッチコピーではありません。
奇をてらった、本質とは距離の離れた惹句を、確信犯的に盛り込むのも違います。
もっとも大切なのは本質です。
商品・サービスの価値や魅力を、その本質まで掘り下げて、まずは本質自体を言語化する。
言語化した本質を起点として、宣伝文であるメッセージに強さをもたらす言葉、
お客様の想像力を掻き立てる言葉を発見し、興味・関心を引く印象的なフレーズに組み合わせていきます。
目指すのは、その商品にしかない、そのサービスにしかない、特性や個性の発掘です。
特性や個性がどうやら不足しているとわかれば、それはそれで大事な気づきが得られます。
ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者で心理学の研究者でもあるダニエル・カーネマンさんによると、思考には「速い思考」(=システム1)と「遅い思考」(=システム2)があるそうです。システム1は直感的、感情的な思考であり、システム2は意識的、論理的な思考だそうですが、システム2に働きかけるのが「頭」に働きかける文章で、システム1に働きかけるのが「心」に働きかける文章と言えるかもしれません。
メッセージは「簡潔に」が基本
この効能書きをお読みになっているということは、
「ESSENTIAL FORCE言語化」への興味・関心をお持ちになっているからだ。
そう判断し、わたしたちが本質を起点として発見した、メッセージに強さをもたらすフレーズを紹介させていただきます。
ESSENTIAL FORCE言語化が独自のミッションとして掲げている「経営者を思考停止の罠から救う」というフレーズです。
言語化の価値は、言語化を進めていくプロセスにもあると気づいたのは、思考を本質まで深めてからでした。
なぜ、言語化は喜ばれるのか。
過去に取り組んだ言語化を振り返ると、どうやら独りで思考を深めていくハードルが高いからだと気づきます。
喜ばれるのは、問答のプロが協働すると、思考を邪魔する障害物を乗り越えていくのが容易になるからです。
言語化は言語化のプロセスにも価値がある。
捉え直したこの本質を起点として、さらに思考を深める言語化を試みます。
独りで思考を深めていく機会が多いのは、誰だろう。
容易でない選択を頻繁に迫られ、最後は独りで決断しなければならない経営者ではないだろうか。
だとすれば言語化は、経営者に重宝されるのではないか。
言語化のこうしたプロセスの価値を伝えるために必要なのは、
多くの経営者に響く、あるいは感度の高い経営者に刺さる「強い」メッセージです。
伴走者のいない孤独な思考は大変だ。
大変だから思考を避けるようになっている。
避けている自覚を、きっと持たないままに。
自覚のない思考回避。つまりは思考停止――。
そうやって捻り出したのが「経営者を思考停止の罠から救う」という本質起点のフレーズでした※4。
広告業界には、アイキャッチャーという工夫があります。
目を引く(アイキャッチングな)写真やイラストなどのビジュアル要素をうまく活用し、宣伝効果を上げるための工夫です。
興味を惹く強いメッセージを言語化していく際は、言葉やフレーズそのものをアイキャッチャーとして使います。
活字だけで人目を引こうとしているわけですから、メッセージは「簡潔に」が基本です。
ここから先はあなたの会社に置き換えて考えてみてください。
もしも既存のキャッチフレーズなどに不安を覚えているようなら、
思考を商品・サービスの本質まで掘り下げた「興味を惹く強いメッセージ」の言語化に取り組む意義があるでしょう。
自社の価値や魅力を社外に伝える文章が、なかなか読んでもらえない。
この場合は、文章のタイトルや見出しが「興味を惹く強いメッセージ」になっているか、
思考をやはり本質まで深めて、確かめてみるべきです。
ここで言うメッセージとは、ごくごく短い宣伝文のことです。
瞬時に、価値や魅力をイメージできる。
そんな唯一無二のメッセージを生み出すのは、たしかに容易ではありません。
しかし、容易でないから、値打ちがある。
提供していく商品やサービスの本質をしっかり捉えた、瞬時に興味を惹く強いメッセージを、
集客の大きなきっかけにしていただきたい。そう願います。
いわゆる経営者の勘で決断し、勘が奏功するケースも少なくないでしょう。勘を潜在意識の働きとみなせば、それは思考停止ではありません。どのような経験の蓄積が、そうした勘に繋がっているのか。良い勘の再現性を高めるための言語化にも、チャレンジする価値がありそうです。
主要参考文献※
本テキストは、筆者(株式会社EDIMASS代表取締役・手嶋真彦)が拝読してきた文献からインスパイアされて執筆したものです。主要参考文献のほかにも多くの文献から学び、触発されてまいりましたことをここに記し、すべての文献執筆者に深い敬意と謝意を表します。
- エリック・R・カンデル 『なぜ脳はアートがわかるのか 現代美術史から学ぶ脳科学入門』 高橋洋訳 青土社 2019
- デイビッド・ロック 『最高の脳で働く方法』 矢島麻里子訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2019
- 岡本欣也 『ステートメント宣言。』 宣伝会議 2021
- 伊藤公一 『なんだ、けっきょく最後は言葉じゃないか。』 宣伝会議 2021
メッセージ言語化の「効能」